![]() 自分の持ってきた四ッ手網、イカケ タモなどによって川の中での 役割が決まる。一斉に並んで 水際や穴ぐらを竹竿で突っつく子 こぶし大の石を水中で鳴らし ながら川を下って行く子 下流で四ッ手網を入れて待つ子 上着を大事に持って草の生い茂る 岸を懸命に走る子。 上級生のヨーシの声で網を上げると ナマズ オチャヒゲ フナなどが ウヨウヨ……. メソ(うなぎの子)も小指から親指大 のが数え切れないほどかかっていた。 メソは素手で掴むのにコツがあって 爪にいれる力加減がむつかしい。 夢中で遊んでいるといつの間にか 夕焼け空のあかね雲。 両岸の雑木の長く伸びた影法師。 カラスも矢作川岸のねぐらに帰りのんびりしたお寺の鐘が聞こえてくる。 やがてふくろうもホーホーと鳴き出すだろう… 慌てて湿った草履をつっかけ家へ急ぎ足。 『帰ったぜー』 『遅かったなあ、あんまり遅いとゴロスケに連れていかれるぞー』と脅かされても、 心がうきうきしてなぜか気にもならないしなにより塩辛い雑煮も待ち遠しい。 いつ勉強したんだろうか いや誰もあまり勉強しなかったように思う。 |